今年2024年の4月から土恋処6号棟に入所された、春日井市のご家族、神戸さんファミリー。精力的に野菜作りをされています。
数年前からは考えられない とんとん拍子で決まった人生の展開
本日はよろしくお願いします。こちらにいらした経緯を教えてください。(伊藤)
伝統芸能の御神楽の記事が載っていた「かわしま地域新聞vol.50」をたまたま拝見しまして、私も春日井市で御神楽に携わっているので、これはご縁なのかと思いました。私は今55歳で退職まで数年ありますが、将来の身の振り方を考えていた時期でもあり。クラインガルテンのパンフレットをたくさん取り寄せたのですが、たまたまこちらの土恋処に空きがあって、今年(2024年)2月に娘たちもタイミングが良くて、かやぶきの館に泊まることができました。周りの方も皆さんいい方ばかり。もう他を見て歩かなくてもここでいいんじゃないか。と決めました。
たまたまかやぶきの館に宿泊した日が2月なのに暖かい晴天。奇跡的な巡り合わせでした。次の日は大雪!一日ずれていれば来ることが出来なかった。こちらの印象がとてもよかったので即決しました。(洋史さん)
日本の食糧難問題についてメディアで取り上げられるようになり、少しずつ関心を持ち始めたのも今年からでしょうか。それまでは、どちらかというと「買った方が早いし安いし」と思っていたのです。私の実家は三重県でして、畑もやってはいたんですが、その頃は、関心が無くて…。娘たちもアレルギーを持っていたこともありまして、日本の食料の基準が甘すぎる、大丈夫なのかと色々疑問を持つようになり調べ始めました。世の中の仕組みがわかってしまった今、このままの食を摂取し続けたら大変な事になる、金額云々ではない、これは自分で作らなければ!と思いました。(裕代さん)
菌ちゃん農法にトライしました
菌ちゃん農法で、初めて唐辛子を作りました。畝を2通り。久しぶりに来てみたら、ものすごい事になっていました!唐辛子が大きい!驚きました。菌ちゃん畝の良いところは、水をやらなくていいんです。本当にいい野菜ほど逆に虫が付かないのです。当たり前のように「虫が付く野菜は美味しい」という常識は調べて行くうちに、間違っていることがわかりました。栄養価、例えば抗酸化作用が高いもの、ビタミン、ポリフェノールが豊富だと、虫が消化出来ず、少し食べて諦めるらしいですね。江戸時代まで受け継がれていた炭素循環農法です。(裕代さん)
虫が食べると野菜は美味しいはずと誤解していました(山崎)
自宅の芝生も剥がして畑にしてしまいました。ナスもオクラもすごい大きいです。野菜が弱って来るとそこで虫がやって来る。土も耕しません。連作障害もないという農法です。(洋史さん)
菌ちゃん農法とは
雑草や虫や菌を味方につける農法。無駄なく生命の構成要素が土に戻される農法。糸状菌と窒素固定細菌は空中から窒素を集めて野菜の根に届ける。落ち葉、木、竹やモミガラなどの有機物のほとんどは炭素。土の中で微生物を育て地球温暖化も防げる。
ここに来たとき 初めて来た感じがしませんでした
かやぶきの館は26年前、農業振興の場としてオープンしました(伊藤)
その取り組みとしての土恋処なんですね。1号棟の風間さん[かわしま地域新聞vol.54参照]とのご縁にも驚きましたね。羽咋市の神子原米をローマ法王に献上した高野誠鮮さんのニュースもメディアで見ていまして、土恋処の顔合わせの時、意気投合しまして…。4号棟の小林さんとも情報交換をさせていただいたり、ありがたいことです。かやぶきの館のお風呂もマグネシウム湯。私、自宅のお風呂はマグネシウム入れていて。怖いくらい整いすぎていて。縁のある方が集まって来ますね。驚くことに四日市にも諏訪神社がありまして、長野県とのご縁を感じます。(裕代さん)
芸術・武道に携わってきたふたりの娘さん
川島区はアーティストさんが集まる場所ですね。インスピレーションが高まる何かがあるのでしょうね。娘たちは日々の生活が忙しくなかなかこちらに来ることができず残念がっています。上の娘は、卒業制作の作品として龍神を描いているんですよ。辰年に辰野町、龍に守られていますね。諏訪大社もそうですし。 日本はアーティストに対しての評価が低いように感じます。あれだけの労力や時間を費やし、漫画・アニメなどは全世界に与える影響は素晴らしいのです。あえて商業要素のためステイタスを下げられているのではないかと思うくらい。美術大学も大学名も大事ですが、大切なのはそこで何を学ぶかです。(裕代さん)
全く同感です。地球人は誰もが芸術家。感性を生かし人生を全うするのが使命だと思います。(山崎)
自分の人生は自分で作る 食も仕事も夢も すべて
お三方、皆さん行動力が素晴らしいです。(伊藤)
家族それぞれが、好きなことをやりたいようにやって生きている、それが一番の幸せですね。私も母に厳しく育てられた記憶がないですし。英語教室も自宅で開いています。ホストファミリーも10年間やっていました。国単位で世界を見るから争いが起こる、個人として接すれば皆同じ仲間だと思いますね。語学が元々好きだったということもありますが、言葉を通じて、違う国の方と交流する事で、わかりあえるはずと信じています。(裕代さん)
お話をお聞きして
取材当日は雨降りでしたが、6号棟の中は熱気ムンムン!おまけに収録終わった途端、はかったように雨が止み、写真撮影もできました。お聞きすればお聞きするほど濃厚な話題が次々と農業から芸術、世界平和、御神楽の話まで話題は尽きず…。偶然の巡り合わせが詰まったエネルギッシュなインタビューになりました。 (インタビュー=伊藤 優/山崎里枝 撮影・編集・デザイン=山崎里枝)