自然

土恋処10年選手の私たちです 河内 勲さん 河内イホコさん

13棟ある土恋処の中で、ひときわ目を引く季節の草花が美しい3号棟。いらっしゃるのは河内さん夫妻。土恋処3号棟に入所されてから10年の月日が流れました。これまでの人生のお話をお2人にお聞きしました。

若い頃から長野県とは山のご縁で繋がっていました

本日はよろしくお願いします。河内さんのご出身は(伊藤)

生まれは神奈川県藤沢市です。高校の数学の教員でした。山岳部の顧問もしておりました。家内(イホコさん)は小学校の教員です。教師は自分自身が楽しくないとね。生徒も楽しくない。昔から山が好きで、長野県は憧れの場所。「試験中、私たちには勉強しろ勉強しろと言って、先生は山に行っていたじゃないですか」今でも教え子に言われます(笑)この夏も一緒に彼らと登山の予定があります。その後、定年になって大町市に引っ越しました。家内はその7、8年前に早期退職し、爺ヶ岳スキー場の前にロッジをオープンして。合流したという感じですね。(勲さん)

 お客さんは、ほとんどが東京・神奈川県の知り合い。先生関係や生徒さんの家族だったり。こじんまりしたロッジでしたので、お客さん扱いせずにね。充実した日々でしたけど、やはり雪が深すぎて、年齢を重ねると体力的に豪雪地帯で暮らすことはなかなか大変です。(イホコさん)

信州登山案内人を長らくやっていました

60才から12年、信州登山案内人をやっていました。ガイドは人を背負ったりすることもありますので、体力的なこともあり72才で引退を決意しまして。資格はありますがプロとして一旦身をひきました。

ロッジナッツベリー

72才でガイドを退いてロッジを引き上げて、藤沢に戻ったところで、スポーツジムに通ったり、クーラーつけっぱなしの家でさて何を?そんな毎日が想像出来なくてね。お隣さんともお互い働き盛りだったので、なかなか交流する機会がなくて。やはり長野県に居たいと思いクラインガルテンを探し始めました。松本市の四賀や奈川にも行き、遠くは岐阜県や山梨県も見てまわりました。ここ土恋処にお世話になって10年目です。

ロッジのポスト
土恋処で使っています

ここにしようと思った決め手は何でしたか(伊藤)

 動線、一軒一軒の配置、植生、規模、全てが良かったです。町に買い物に出るのも遠すぎず、高速道路も程よい距離ですし。農耕師さんがいらっしゃることで、この土地と繋がりを持つこともできました。

花壇に小道を作りました

ガイドをされていて1番多い怪我やトラブルは何ですか?(山崎)

重装備が必要なクライミングの滑落よりも、意外に登山時の簡単な転倒などが多いんです。畳のヘリでつまづくというでしょう。そんな感じで思いがけない怪我をしてしまうこともある。それを防ぐために、とてもゆっくりゆっくり歩きます。20名のツアーだとすると、中には夜行バスで来る方の寝不足など、必ず体調が悪い方がいるという常に予想をしながら進みます。余計な休憩をとらないことも実はとても大切です。

2012年の夏、NHKBSプレミアム「にっぽん百名山」という番組でガイドとして出演させていただいた経験もあります。鹿島槍ヶ岳と五竜岳に登りました。

田舎暮らしをずっとしたいと思っていました

危険と隣り合わせのご主人の人生、奥さまは心配ではなかったですか(山崎)

皆さんによく聞かれますけれど、主人はとても慎重な性格なんですよ。石橋を叩いても渡らない(笑)それを知っているから心配はしないです。私もずっと、好きなことをやらせてもらっていますね。毎年、藤沢の自宅で自作の作品を並べた展示会をやっています。私にとって、年に1度の最大イベントです。ロッジを始めた頃からブログを始めて、今はnoteをやっています。土恋処、手芸や草花、田舎暮らしなど日常のことを綴っています。(イホコさん)

やっぱり!奥さまだったんですね。ずっと気になっていました(山崎)

うばゆり日記 note
山里と都会を行ったり来たり ウロウロ・おろおろ~花と手芸、PCお絵かきが好きな婆ちゃんの日記です。時々田舎暮らしをしながら、花の世話、手芸、pc落書きを楽しんでいる婆さんの日記です。

人生で1番入れ込んだのは「山」ですね

私の好きな分野は主に、ロッククライミング、雪山、沢登り、山スキーです。そうなるともう遊びの域を超えていますね。マンツーマンでは、検事さん、大学の教授、様々な職種の方々をガイドしました。

飯豊山石転び沢滑降

神奈川高校教員登山隊員として50才の時、40日くらいかけて中華人民共和国・新疆ウイグル自治区のムスタグアタ山(7,509m)に登りました。遊牧民の方の地域です。ポーター・シェルパを頼まず、酸素も使いません。行く前の訓練は空気が薄い富士山の頂上で寝るんですよ。命懸けなので念には念をです。直前まで予想をしないと進むことはできません。

富士山が練習場所なんですか!?(山崎)

その他、海外遠征としてはアメリカのヨセミテで山岳会の仲間とクライミングを40代の頃したのが思い出深いです。(勲さん)

中華人民共和国・新疆ウイグル自治区のムスタグアタ山

剣沢源治郎尾根

土恋処・川島の皆さんとの交流

土恋処の皆さんと東屋に集まってバーベキューなどしていました

ここに来て10年経ちましたが、ひとこと言わせてください。川島の住民の皆さんに本当に良くしていただきました。数年前には川島の御柱に参加させていただきました。農耕師さんの気やりや里引き、地区の人間ではないのに、お声をかけていただいて、皆さんと交わることができとても感謝しています。「門前のほたる祭り」にも招待していただいて、集落の方に混ざって良い思い出になりました。(イホコさん)

横川御柱里引きに参加しました

川島地区は神社や祭りなどを通じ、関係性がとても深いです(伊藤)

川島の方々は一代で、この土地を持ったのではなく先祖代々開墾して守ってきた。創設するにあたり、その思いを繋いできた大切な土地を、かやぶきの館・土恋処の為に提供してくださった方々に感謝の意を表さなければいけないと私は思います。(勲さん)

仰るとおりです。本日はありがとうございました(伊藤)

お話をお聞きして

山男といえば「娘さんよく聞けよ♫山男にゃ惚れるなよ〜」という歌ですが、実際には河内さんのように難度の高い山の経験がある方ほど、慎重で物事を深く多角的に見る方という印象を持ちました。プロフェッショナリズムを感じました。(インタビュー=伊藤 優/山崎里枝 撮影・編集・デザイン=山崎里枝)

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