自然

川島の自然と人々が 私を変えてくれた 鳥居 直樹さん

川島区飯沼沢にお住みの鳥居直樹さんが、はじめてヨガを習ったのは2005年インド・バラナシだそうです。世界各地を何度も旅をしながら、ここ川島に落ち着いたのは2020年。これまでの人生をお聞きしました。

面白いカッコいいことを求めインド放浪の旅へ

本日はよろしくお願いします。鳥居さんのヨガとの出会いは?(伊藤)

大学生の時に母親の本棚に「ヨガ」の本があり興味を持ったのが最初の出会いです。旅に出たのは沢木耕太郎さんの「深夜特急」に憧れて。放浪してボロボロになって安宿でぐったりしている俺、カッコいいみたいな。そんな経験が欲しかった、男を見せたかった。今思えば動機が不純でしたね(笑)それから社会人になり、千葉で電気メーカーの営業の仕事をしていた時に腰を痛めまして。ヘルニアでした。その時にヨガのポーズを友人に勧められました。やっていたら改善してきまして。自社商品のイヤホンをつけて走るモニターをした時に、体を動かすことは素晴らしいと感じました。それまでは音楽ばかりの人生でしたので、スポーツは皆無でしたが、山登りやボルタリングなどもするようになりました。それから長野県にもよく来ていましたね。退職した2012年に旅に出ましてインドに着いた時に、現在その普及に努めているアシュタンガヨガに出会いました。

沢木耕太郎「深夜特急」
600万部突破のベストセラー、沢木耕太郎による旅文学の傑作。あとがきには「もしこの本を読んで旅に出たくなった人がいたら、そう私も友情をもってささやかな挨拶を送りたい。恐れずに。しかし気をつけて」と書かれている。

初めて川島を訪れた時はショックでした

リシュケシュにて現地の修業者と

通っている学校があるインド・マイソールにて

出身はどちらですか(伊藤)

千葉県千葉市です。ベッドタウンでして、子供の頃は家族でよく、避暑地に遊びに来ていました。志賀高原にも来たことがあります。長旅から日本に戻り「ヨガで身を立てるぞ!」と決心。ですが、東京の暮らしは肌に合わず、自然豊かな他の土地で暮らしたいと思っていました。長期旅行中は国内外を山登りも兼ねて訪れ、移住先を探していました。東南アジア、オセアニア等を妻とまわりながら、1年目でインドに辿り着きました。ヨガ発祥の地ともいわれるヒンドゥー教の聖地、リシュケシュにも行きました。東京にいた時に、有楽町でやっていた長野移住フェアに行きまして、その場で辰野見学を決めました。で、川島体験ツアーに参加した際、やられるわけですよ、こんな場所があるのかと。ショックでした。特に川島小学校。こんな学校にいつか子供を通わせられたらいいなと思いました。ですが、ヨガ講師で生計を立てたいという気持ちがあったので、人口やその他、マーケティングをして心機一転、松本市も考えましたが、2019年の夏、人口100万人の都市広島市でヨガ教室を開きました。1年もしないうちにコロナ禍になりました。教室も閉めて、オンラインで開催していましたが、この先どうなるかの不安と、こうなったらとにかく住みたい場所に住もうと思い、2020年ここ川島に移住しました。

マイソールの風景

リシュケシュを流れるガンジス川

辰野町の皆さんとの関わり

鳥居さんはヨガと地域との融合性をどのようにお考えでしたか(伊藤)

あまり深いことは考えていませんでした。私がやっているのはアシュタンガヨガというものです。動く瞑想ともいわれ、ポーズをとる順番や、視点が決まっているため、集中するトレーニングになります。最初はノープランで始めたのですが、フリーランスで翻訳やライティングの仕事をしながら、とにかくやれることは、何でもやってみようと。辰野町民会館やアラパ、社会福祉センターで無料講座を開催し、おかげさまで盛況でした。場所を貸していただけたことにとても感謝しています。3年前には松本市でもヨガ教室をスタートしました。

松本教室

アシュタンガヨガ
南インド発祥の伝統的なヨガの流派。マドンナやスティングなど、世界中でセレブ達が練習していることで一躍有名になった

人生何があってもどこか楽しんでいます

実はこの度ヨガで生計を立てることを諦めて、この年になってまた本格的に就職活動しています。これまでの私の人生、2択があったら、必ず失敗する方を選んでいるので知人には「またか…」と思われそうですが。失敗するということに関しては、私はプロ中のプロです(笑)

それはなかなかできない経験です。それは、才能ですよ!(山崎)

自分自身、実は失敗だと思っていなくて、楽しんでるんですよね。でも正直なところ、心のどこかでは世間に誇れる肩書きが欲しかった時期もありました。特別な人間になりたかった。今では、その欲望もだんだん削ぎ落とされて来ましたが。ここ川島にいるからなのかと思います。

都会でサラリーマンやってた方が、田舎に来てヨガをやるなんて、普通はしません(笑)(伊藤)

宮崎県で開催されたヨガイベントにて

川島に来て変わった自分に気づきます

ここ川島は、お年を召した方が最高に強いし、カッコいい、元気で魅力的です。飯沼沢に引っ越して来てからずっと耕地のみなさんのお世話になっています。おっしゃる言葉一つひとつが、胸に響きます。ここにいると「無理して何者にもならなくていい」と気持ちがスッと楽になります。肩の力が抜けますね。尖っていても普通でも、だから何?と価値観が変わります。しっぽりと内輪のコミュニティで楽しむ。地域としての仲間の繋がりが感じられる。そんな穏やかな日々を素晴らしいと感じます。辰野ほたる祭りも大好きです。あちこち旅しましたが、ここのほたる祭りは最高です。

ヨガを通して、人々に伝えたいことはありますか(伊藤)

…。うーん。深い質問ですね。私がこれまでヨガを通して得てきたものの多くは、実はここで普通に暮らしている方々はすでに備えているようで。花を愛でる気持ちを持つこと、野菜を育てること、ささやかなことに感動すること。そういったここでは当たり前の感覚をヨガを通じて街の人へも伝えて行きたいです。先日も近所の酒屋さんご夫婦とお話していて、農作業の際は手袋をつけない。真似してやってみたら素手の方がいい。些細なことですが、生きる術を教えていただきました。このインタビューをお受けしようと思ったのは「かわしま地域新聞」を通して川島の皆さんにお礼を伝えたかったからです。みなさんいつも本当にありがとうございます。無理せず日々の暮らしをする、特別ではなく、なんでもない1日が尊いです。それは、私の人生にヨガがあるから、そしてここ川島で生活しているから。そう思える自分がいる、それがとても嬉しいです。

バナナを収穫する
インドのお母さん

お話をお聞きして

私の勝手な鳥居さんのイメージは、どこか遠い世界の人。でしたが、ありのままを表現される方、自然体の方でした。今世でヨガをする人は、前世でもしていたと鳥居さん。私は中学生の頃からヨガを始めたので、もしかしたら前世でインドとの縁があったのかもしれません。またヨガを始めたくなりました。(インタビュー=伊藤 優/山崎里枝 撮影・編集・デザイン=山崎里枝)

 

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