農業

川島で無農薬・無肥料栽培で再起を 風間 農さん

新年の訪れを祝う列島を震撼させた能登半島地震。地域おこし協力隊として活動していた被災地の石川県羽咋市から移り住み、川島区の「土恋処よこかわ」で野菜作りを始めた風間農さんにお話を伺いました。

体を壊して気づかされた「健康な農業」の大切さ

風間さんは元々はどちらのご出身でしょうか

東京練馬で生まれ育ちました。能登半島から被災してきたと思われるのですが、実は能登には1年もいませんでした。

羽咋市では地域協力隊としてご活躍されていらっしゃったとか

そうです。去年の4月に羽咋市の地域おこし協力隊として赴任しました。春からその地域の特産のお米を作り、酒米を羽咋市内の酒蔵に持ち込んで蔵人の一番下から酒作りをする。というミッションでした。それ以前は紙媒体などのデザインを仕事にしていました。

私は、5年前に体を悪くしました。食事療法とサプリで治療したのですが、その時に「健康な農業」。いわゆる無農薬・無肥料栽培に興味がわきまして。自然栽培を羽咋市の農協が中心になってやっていたんです。当時は全国の農協では羽咋市だけでした。どこかで農業を習いたいと思っていたところ、3年前に「自然栽培の農業の塾」が羽咋市であることを知り東京から毎月通いました。農業関係の繋がりもできましたので、羽咋市で活動したいと思いました。神子原地区で米作り希望の地域おこし協力隊の募集があり、即応募しました。ずっと地域おこし協力隊の募集がないかと狙っていたんです(笑)

辰野町地域おこし協力隊はほとんど残っています。全国でも良い例だと思いますね。

そうなんですか!羽咋市の地域おこし協力隊は残る方は1割ほどですよ。

自然に囲まれて、田舎で暮らす幻想はなかった

辰野町の印象はいかがでしょう。 町の中でも常に前向きで積極的なのは川島区だと思います。

地域おこし協力隊の時もそうだったんですけど、大自然の中で田舎暮らしを満喫しよう。という感覚は元々はないのですよ。その土地に行ってみて、どんな暮らしが出来るのだろうかと思い描く感じでしょうか。かと言って都会で暮らしたいとは全く思いませんが(笑)この町は静かでいいです。今まで「やりたいことがあってその場所に住む」という人生を生きてきましたので。

これから川島区の皆さんとコミュニケーションをとっていきたいですね。農作業のお手伝いをしながらでもいいですし。諸先輩方の輪に入れたらと思います。

「土恋処よこかわ」の周辺は新緑が眩しい季節に

今年1年はあえて畑作りは失敗の予定

この春から「土恋処」の畑で土を耕し、ジャガイモの種芋を植えました。今後はご縁あって数年住んでいたブラジルの野菜も植えてみたいと思っています。手始めとして、タピオカの原料としても知られるブラジルの芋、キャッサバを植え付けてみました。互いに助け合って生育する、相性のよい植物同士のことを「コンパニオンプランツ」というんですけど、ジャガイモのとなりは大豆が適しているんですよね。大豆の根っこにつく菌が効果的という事で。ネットで検索しましたら、安曇野に無肥料で大豆を栽培しているところがありました。川島区にも無農薬・無肥料栽培で野菜作りされている方いらっしゃいますね。今年は「失敗する1年」になると思います。

え。そうなんですか!

良い土を作るには麦を植えるという方法を習った事がありまして、麦は強い根が下まで伸びる性質があります。農薬と肥料を使っていた畑は、どうしても耕して耕して土の硬い層ができてしまいます。それを突き破ってくれるのが麦なんです。麦の菌が下まで届きますので。土壌を改善するには5年はかかりますね。前の方がお花の手入れをしてくださったおかげで、とても華やかに咲いています。

ジャガイモの畝の間に麦を植えている

銅製の鍬が土壌に良いと聞いたので、早速購入して使用中!「奇跡のリンゴ」木村秋則さんをデザインしたTシャツ!ユーモアきいてます!

銅のワイヤーを棒に巻き付け畑の四隅に

種芋にもワイヤーを輪にして置いた

こちらに初めて来た時3月でしたが、雪が残っていたので驚きました。冬はどのような過ごし方をするか計画たてます。親交のあった羽咋市に移住されたご夫婦、遠藤さんにこちらを紹介していただいたのがきっかけです。「長野のど真ん中あたりに行きたいな〜」。なんて話していて。遠藤さんが辰野町役場の伊藤さんを大変気に入り、とんとん拍子に移住が決まりました。農業初心者ですが、とりあえずちゃんとした作物を作れればと思います。

エレクトロカルチャー
自然界のフリーエネルギーと水の関係を書かれているヴィクトル・シャウベルガーの驚くべき洞察。鉄製品は庭園の土壌に対して良くない影響を与える。鉄製のツールは摩耗する事により微細な鉄片を土の中に残しそれが酸化されて土壌を乾燥させる土錆びを生じさせる。銅製のものを土を耕す際に使用すると土壌の水分バランスを整え、植物の光合成を促し、病気や寄生虫に対する抵抗力を高めると言われている。

長野市風間が私のルーツです 長野県にご縁があったのでしょう

私の姓は「風間」というんですけど、千曲市の稲荷山駅近くにはお墓があります。近くに風間神社もあります。名前のルーツのようです。風間神社は諏訪神社とも関係があって江戸時代には「諏訪大明神」から「風間大明神」へ改号しました。全国の風間さんの発祥の地ですね。

風間さんのお名前 農さんというのはご本名ですか

そうなんです。「農」と書いて「あつし」と読みます。自分では名前負けと思っていますが(笑)でも自分自身、小さい頃から「農」は知らず知らずのうちに意識していたのでしょうね。  近い将来、日本は自国で食べていけない国になってしまう。この不安が少しでも解消されればいいと思っています。

お話をお聞きして

デザインをされている方という事もあり興味深くお話を聞かせていただきました。クリエイティブな方はこだわるけれど流れに乗る事も自然です。長野県にもご縁がある方で繋がりを感じました。農業もデザインも「モノを作る」という点では同じです。より良いモノ、より感動を生むモノ。を作り続ける。人生はそんな旅の繰り返しです。山崎里枝(インタビュー=伊藤 優 撮影・編集・デザイン=山崎里枝)

 

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