食事処

上横川神社からの景色に惚れて 川島区で店を構えて17年 おばば亭店主 桑原美津子さん

おばば亭の店主通称「おばば」こと桑原美津子さん。「おばば」を川島区で知らない人はいないほど。ユーモアたっぷりのトークで話題は次から次へと…。はたまた人生相談へ発展した!?

パイオニアと言っても過言では無い 川島区に移住第1号の人

ーおばば(あえてこう呼ばせていただきます)はどちらのお生まれですか。(伊藤)

東京です。ちゃちちゃきの江戸っ子ですよ。生まれも育ちも東京。子供の頃は渋谷の田んぼで遊んでました。当時は田舎も都会も景色は同じですね。20歳まで住んでましたけど、今東京の実家に行こうとしても迷子になってしまうわ。その後30年ほど伊豆の伊東で結婚して暮らして。子供たちは伊豆と東京にいます。

ーなぜここに来ようと思ったのですか。(山崎)

子供たちの手が離れたから「さあ移住しよう」と思い立ちました。最初は伊那技術専門校に行こうと思っていて。通いながら住む所を探していました。高遠や飯田、小谷まで行きました。辰野をまわりながら、ここ川島に足を踏み入れた時「ここにしよう」と即決しました。今は移住は新しい人生の選択のひとつですが、当時はマイナスイメージでしかありませんでした。宗教団体のニュースも世間を騒がせていた時期でしたし、色眼鏡で見られましたね。私にとっては移住は普通のこと。土のある場所で生活したかっただけです。これからは自分の人生を生きようと思ったのです。50歳の時でした。

川島区に楽しく飲んで集まる場所を増やして欲しい

ーおばば亭をオープンして何年になりますか。(伊藤)

かれこれ17年が経ちました。ご縁が繋がってこのお店を始めることになりましたが、続けてこれたのはお客さまのおかげです。皆さん飲んで騒いで他愛のない話をしたいのよ。今の時代、飲みにケーションが無いから。お客さまと時には喧嘩しながら好き勝手やってます。そんな関係が心地いいのでしょうね。情報交換の場ですし。常連さんは男性が多いかしら。お客さまにおいしいお酒を教えていただいたり勉強になります。

ーここはみんなの憩いの場です。(伊藤)

川島区には、夜も営業しているお店が増えればいいと思います。1軒だけではだめです。何軒もあると回わり回わってその土地が潤います。連携も取れるし、相乗効果が生まれます。以前はここで腹ごしらえをして、次はカラオケのあるスナックへ行き、さらに…。というはしごコースが定番だったけれどね。

どこか懐かしい感じ

川島区は一言で言い表せない魅力があります

ーどこに出かけてもここに帰ってくると安心しますね。(伊藤)

川島区の谷はほっとしますね。この素晴らしい財産を意地でも残そうとした人たちのおかげです。世界遺産やその他の名所も同じ。学校もそうです。子供たちの人生の勉強の場所ですからね。川島小学校の廃校は残念です。学校が無いと家族づれの方々が引っ越して行ってしまう。私は木工の先生に「自分の欲しい物は自分で作れ」と教わりました。頭を動かして考え工夫する、生きる術を必死で探すのですよ。

さあさあどうぞ

ー様々な年代のお客さまがお越しになるんですね。(山崎)

そうですね。常連のお母さんたちともお付き合いが長いから、子供たちの成長も見てきました。小さい子もおばばって呼ぶし。女性が元気で、特に家庭ではお母さんが輝いていることは大事です。なんだかんだで主婦の料理が一番おいしいと私は思います。食べる、特にお肉をしっかり食べないと元気が湧きません。私は思ったら、車を運転してどこまでも行きます。飛騨高山の飛騨牛や信州新町のジンギスカンを食べに行ったり。おいしい物をいただく事は勉強になりますね。 仕出し料理の配達もします。子育てサークルさん、若いママさんたちにも利用していただいています。皆さん本当に頑張っていますよ。

うんうんそうよねえ

購買意欲を駆り立てるには、試食が大事。

ーおばばの料理は本当においしいし、癒される味です。(伊藤)

先ほどもお話したけれど、食は本当に大切なことです。知って欲しいならまず食べていただくこと。そうすれば伝わります。実際に味わってもらいましょう!私は好奇心旺盛、やりたいことはすぐやるし、食べたい物は食べる。おいしい料理が食べたい常連さんのおかげで、試行錯誤しながら料理をお出ししています。

ーかやぶきでも全く同じです。勉強になります。(伊藤)

焼き銀杏

揚げ出し豆腐

ふろふき大根

田舎で暮らすこと。もちろん煩わしい部分もあります。

ー最近の移住事情についてどう思われますか。(村上)

そうですね。若い方がひとりで移住するのは難しいのではないでしょうか。例えば、耕地費や区費だけでも年間にするとかかりますね。田舎で自給自足の生活をしようと思ってる人には負担が大きいですね。市や町などは、区費はそれほど高く無いですし。草刈りや様々な行事にかり出されることも少ないです。見慣れない方が引っ越してくると、あの人はどこの誰だとか、いつも車が停まっているが病気ではないかとか、お節介で放っておけない田舎の方の性分をうれしいと受けとるか、煩わしいと受けとるか、人それぞれです。どこで暮らしても良し悪しがあるのは当たり前です。

人間悩むことは前に進みたい気持ちがあるから

ーおばばが移住を決めたのは50歳。今の私と同年代。このままでいいのか考える時があります。(山崎)

現状に満足していないという気持ちは、まだまだ成長したいという思いがあるからですよ。お金や家族の問題は避けて通れないですよね。それでも一番大切なのは「誰のための人生か」という事。悩むということはそういう時。悩んでいいんです。また内緒でここにいらっしゃい(笑)

お話をお聞きして

おかげさま。おかげさま。って何回もおっしゃるおばば。ざっくばらんにお話されていましたが、常にお客さまに楽しんで頂こうとなさっている姿勢が伝わって来ます。聡明で世の中の流れを冷静に見据えていらっしゃる方です。感覚もとても新しく新鮮な所見をされます。おばば亭の雰囲気も癒されましたが、私はおばばのファンになりました。ありがとうございました。

(インタビュー=伊藤 優/村上康介/山崎里枝 撮影・編集・デザイン=山崎里枝)

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