地域創生

次の5年間で川島をどうしたい? みんなで考え、みんなでつくる「地域計画」

5年後、10年後の川島はどうなっているだろう? 人口はどのくらい減っている? 空き家はどのくらい増える? この美しい景観は残り続けている? 様々な疑問が湧いてくるのではないでしょうか。将来について考えるとき、前向きなものばかりではなく、不安に思う点もきっとあると思います。未来のことを1人で考えると抱え込んでしまうかもしれませんが、みんなで考えれば解決のための知恵も出てきやすいもの。

辰野町では5年に一度、「総合計画」と呼ばれる将来に向けたまちづくりの計画を立てています。さらに各地域が自分たちの地域を今後どんな風にしていきたいか、地域ごとのまちづくりプランをまとめる「地域計画」と呼ばれるものも存在します。今回は、そんな川島の地域計画を5年に一度見直すための寄り合い会議があるということで、かわしま地域新聞として参加させていただきました。5年後の川島を考える2時間は、どんなものだったのでしょうか。会議の様子をお届けします。

10年で川島の人口は150人減の見通し

1月12日。雪が積もる寒空の中、川島の寄り合い会議は行われました。コロナ禍のため、出席者は限定され、地域の役職についている20名弱が参加。大半は男性で、女性や若者世代の姿は数人見られました。会議の冒頭は町役場より、「川島の人口がどのように減少していくのか」についての説明から始まりました。

いま現在、川島の人口は617名。今後どのくらい減っていくのでしょうか? なんと、これから毎年60人近く人口が減少していく見込み。今から4年後の2026年には、団塊世代が後期高齢者となり、600人を下回って545人に。さらに2030年には、476人にまで減少する見込みです。たった、10年足らずで150人以上、実に川島の人口の4分の1が減ることになります。ちょっと不安になる数字です…。また、川島は高齢化率も高く、人口の半分以上が65歳などシニア世代に。川島は高齢化先進地であるともいえます。

人口減少が進んでいるからこそ移住施策も先進的

地域住民が主体となった地域保全活動も活発な川島の営農組合

「ただ、人口が減っている、高齢化率が高いから川島はダメだというわけでは全くないんです」と町役場の赤羽さんは言います。「川島は地域活性化の先進地でもあるんです」。
人口が減っていく一方で、人口を増やしていくために長野県内に4つしか指定されていない「移住モデル地区」になったり、子育て世帯に向けたイベントも開催したり、空き家の利活用が活発なこともあって、移住者は他地域に比べても増加傾向にあります。また、地域で農地を守る取り組みにも精力的で、美しい景観が今でも守られています。そんな川島の魅力に惹きつけられて、川島を定期的に訪れる関係人口も現れ始めています。必ずしも悲観するだけでない、希望もまた川島にはあることが見えてきました。

では、地域の皆さんは川島のことをどう思っているのかについて聞いてみると…。

「春になると川沿いの桜の木々がきれいで好き」(渡戸の方)。
「かやぶきの館から門前に向かって降っていく時に目に入る農村風景が美しい」(門前在住)
「田んぼが段々になっているところを見るとバリ島のウブドゥのようで美しい」(源上在住)

みなさん口々にご自身の住まれている地域の魅力を嬉しそうに語っている姿が印象的。こういった地元への誇りが地域の主体性を生み出しているのかもしれません。

美しい里山風景

5年前の課題、地域の努力で改善しているものも

寄り合い会議の中盤は、5年前に策定した川島の地域計画の見直し。出席者みんなで見返していくと、5年前に課題だったことが、改善されているものも見つかりました。

「耕作放棄地が増えているという課題が見られるが、営農組合や地域ぐるみの協力もあり、里山景観は守られているのではないか。川島の景観を気に入ってくれる移住者や関係人口も多い」
「前回の地域計画では、有害鳥獣被害が著しいという声があったが、地域で連携した駆除活動が効果を発揮して昔より落ち着いてきているのではないか」

耕作放棄地の対策については、耕地内だけでなく、耕地を超えた農業連携も生まれはじめているほか、担い手のいない農地を現役農家の方が譲り受けて空き農地を生まない動きもあり、今後数年間は地域主体で農地を保全していく体制が取れています。これは他地域では珍しく、先進的な取り組みといえます。
また、有害鳥獣対策についても、サルにGPSを取り付けて大群が農作物を荒らす前に事前に察知したり、手持ち花火で追い払うための講習会を開催したり、駆除のための協働体制が確立されており、チーム川島で対策がなされています。

免許返納、松茸、土砂崩れ。次の5年で解決したい課題

一方でもちろん課題の声も多く聞かれました。
例えば、免許返納によって買い物に行ったり、外出する機会が減ってしまったという移動の問題。また、川島の経済を支えている重要な里山資源である松茸の採れる量が年々減少しているという声も。松茸は若い松に生えるという説もあり、川島の松は伐採されないため成長してしまったことが不作の原因ではないかという視点も共有されました。また、戦後に植林された林が伐期を超えているにもかかわらず、放置されてしまっており、大雨など災害時の土砂崩れが心配という意見も出てきました。
そのほかには、農業における後継者作りや、消防団の担い手が減っているなど、人材不足も重要な問題として上がりました。ある地域では、孤独死が起きた事例もあり、地域のつながりや支え合いにおける問題を提起している方も。

 川島の寄り合い会議、第2回ではより多くの参加者を募り、より多様な意見を取り入れて地域計画を作成したいそう(次回の開催日程は不明)。
あなたが感じている川島の課題はありましたか?川島がどんな風になったらいいなと思いますか? あなたにしか見えていない問題、感じられていない課題、描けない理想がきっとあります。ぜひ、第2回の寄り合い会議に参加してみてはいかがでしょうか?

文=地域おこし協力隊 北埜航太

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